【感想】Vivy prototype 3巻を読んだので感想を語る

どうもLibraです。

 今回は2021年夏アニメの覇権タイトルとして名を馳せた「Vivy -Fluorite Eye’s Song-」の原案小説である「Vivy prototype」の3巻を読んだので、それらの感想を語っていこうと思います。アニメ版と比較しつつ重要なネタバレはないようにまとめました。

 下に「Vivy -Fluorite Eye’s Song-」公式サイトのリンクを貼っておきます。

オリジナルテレビアニメ「Vivy -Fluorite Eye’s Song-」2021年4月放送決定!…

概要

著者長月達平・梅原英司
出版社MAG Garden
発売日2021年6月30日
ページ数353
ISBN978-4-8000-1107-7

あらすじ

『Vivy -Fluorite Eye’s Song-』の全体あらすじ

 国内最大級のテーマパーク『ニーアランド』で稼働するヴィヴィは、歌姫としてだけでなく史上初の自律人型AIとして知られていた。ある日、未来から来たというAIのマツモトに100年後、人類はAIに滅ぼされることを知らされ、この未来を回避すべく、共に『シンギュラリティ計画』に協力してほしいと要請される。

 100年かけてヴィヴィとマツモトはAI史における歴史的転換点『シンギュラリティポイント』と呼ばれる時代で、未来の戦争を回避すべく歴史の修正を行っていく。

3巻あらすじ

 第四のシンギュラリティポイント「オフィーリアの自殺」を阻止するべく目覚めたヴィヴィは「ゾディアック・サインズ・フェス」の会場へ向かっている途中だった。ヴィヴィとマツモトはフェスの準備を進めながらもオフィーリアがなぜ自殺してしまうのか、彼女自身とその周辺について調べていた。自殺の理由について明確な情報が得られないまま、着々とフェスの開始時刻が迫る中、ヴィヴィは意外な人物と再会するのだった。

 「ゾディアック・サインズ・フェス」が終了しニーアランドへ帰ってきたディーヴァ。約一ヶ月後、ディーヴァはOGCの研究機関へ回収されることになってしまう。突然のOGC社の要請を受け入れたのはニーアランドの最高責任者「岸辺タオ」だった。納得のいかないスタッフたちはタオに抗議するが決定は覆らず、明日にもディーヴァは園を去ることに。ディーヴァの結末は…

 3巻前半はオフィーリアの自殺、後半はヴィヴィの作曲について描かれています。オフィーリアの自殺はアニメ版とおおよそ話の展開は同じですが、物語の決着の仕方に大きな違いがあります。後半のヴィヴィの作曲では、オフィーリアの自殺とストーリーが連動しており、アニメ版との決着の仕方が違うことから、かなり話の内容は違っています。

3巻キャラクター

ディーヴァ/ヴィヴィ(CV:種﨑敦美)

 ニーアランドで稼働する史上初の自律人型AI。正式名称はディーヴァ。シンギュラリティ計画の活動時にはヴィヴィと名乗っている。「最古の歌姫」として「ゾディアック・サインズ・フェス」に参加するも、オフィーリアを始めとする最新型の歌姫AIたちの実力に少しっビビってしまう。今回の仕事は「自殺を止める」ということで、これまでの内容と比較すればイージーオペレーションなので、戦闘もなく舞台に集中できると思いきや…!?

マツモト(CV:福山潤)

 100年後の正史から開発者の松本博士によって100年前の時代に転送されたAI。非常に饒舌で調子の良い丁寧口調が特徴。ヴィヴィへの信頼度が高くなってきたのか、今回はヴィヴィと別行動をとったり、ステージの時間を気にしたりと何かと気遣いが多い。いつもと態度が違うことに気づいたヴィヴィに「変だわ」と言われてしまう。

柿谷ユウゴ(CV:新垣樽助)

 トァクの主導者であり70年以上もヴィヴィを宿敵として追い続けている。今回も当然のように会場に侵入してはヴィヴィのストーキングを始めてしまう。その行動原理は憎しみからか、それとも熱心なファンである故か。

オフィーリア(CV:日高里菜)

 シスターズの最新機であり、「歌姫特化型」とされる特別製のAI。歌唱能力にほとんどのマシンスペックを極振りした結果、必要最低限の生活能力しかない極度のドジっ子として誕生してしまった。ディーヴァのことを「ディーヴァお姉様」と呼んでおり、彼女の母性をくすぐらせている。リハーサルでは、ディーヴァ含めその場にいたすべての人間、歌姫AIたちを聞き惚れさせるほどの圧倒的な歌唱力を見せつけた。

アントニオ(CV:小山力也)

 非人間型のサウンドマスターAIであり、オフィーリアのパートナー。歌唱以外の分野でオフィーリアの活動を支え続けていたが、数年前に突如機能を停止してしまう。原因は不明。

万城目リョウスケ

 正史における警察機構の調査で浮上した、オフィーリアを破壊したとされる容疑者。しかし証拠不十分につき起訴されず、釈放後に姿をくらましている。修正史においても、「ゾディアック・サインズ・フェス」の会場に現れる。

大鳥ケイジ

 オフィーリアの所属していた小劇場の座長。オフィーリアを見に「ゾディアック・サインズ・フェス」に足を運ぶ。

岸辺タオ

 弱冠27歳にしてニーアランドにおける実質的な最高責任者。非常に優秀、かつ論理的な性格。生まれつき非常に体が弱く、18歳まで病院の敷地から出たことがなかった。

岸辺セイイチ

 タオの父親。タオと同じく非常に優秀で論理的な性格。病院の院長を務めている。

監督

 ニーアランドのステージ演出のチーフを務めている男性。ディーヴァとは20年来の付き合いがある。ディーヴァが回収されることになり、いてもたってもいられない。

作中用語

ゾディアック・サインズ・フェス

 選ばれた12体の歌姫型AIに、星空をイメージしたステージでパフォーマンスを行うというAIの歴史を彩る一大イベント。

歌姫特化型

 シスターズや他の歌姫型AIとは設計コンセプトが異なり、マシンスペックのほとんどを歌唱力の向上に極振りしている。結果、運用範囲が限定され非常に汎用性の低い機体となってしまった。

全身義体

 脳以外の全ての肉体を機械で代替する技術。「オフィーリアの自殺」における時代では理論的・技術的に十分可能な内容だが、実際に人間の脳を機械の体に移植すると、原因不明の昏睡や脳死状態へ陥る事例が多発し、成功例は世界に数例しか存在しないと言われている。

OGCの研究機関

 世界最大のAI産業企業であるOCGの研究機関。ここに回収されるということは、ボディを一つ残らず分解され徹底的に解析にかけられることを意味する。過去、研究機関へ送られたAIが稼働していた現場に戻ってきた例はない。

アニメとの違い

 メタルフロート編の結末がアニメ版と違っていることもあり、今回の内容は最初から最後までほぼ違っています。しいていえば「オフィーリアの自殺」のストーリー展開そのものはアニメと大差ないでしょう。ラストに関してはアニメ版とまったく違う結末を迎えており、この結末が後半の「ヴィヴィの作曲」にもつながっています。ヴィヴィの作曲に関しては、アニメ版と100%異なる内容で共通点はひとつもありません。小説版のオリジナルストーリーとして読むことになるでしょう。

個人的な感想

 3巻に関しては、お気に入りポイントが2箇所あるのでご紹介します。

 1つ目は柿谷の過去の話です。アニメ版でも好きなシーンではあるのですが、小説版でも好きなシーンになりました。柿谷がピアノに情熱を燃やしていた時期、片腕を失って義手に取り替えた時、ピアノから遠ざかっていた時期、先生を失った時のそれぞれの心情の変化が緻密に表現されていて、音も映像もない小説であるにもかかわらず、アニメ版よりもずっと情報量が多いと感じました。

 2つ目は岸辺家の話です。タオの父親であるセイイチ、その妻であるミチの馴れ初めと結婚当初の話が面白かったです。セイイチは非常に論理的な性格で、そんな父親に育てられたタオも論理的な性格ですが、ミチはセイイチ以上に論理的な性格でセイイチは離婚を考えるほど振り回されていました。でもなんやかんやうまくいっており、仲睦まじい様子は微笑ましかったです。

まとめ

 いかがでしたでしょうか。2巻の時点で大幅にアニメ版との差分が大きくなった結果、3巻ではほぼアニメ版との共通点がなくなってきています。読者の皆さんの中には、差分を探す作業から共通点を探す作業の方にいつの間にかシフトしていた方も多いのではないでしょうか。私はその一人です笑。

 今回はここまでとなります。ここまで読んでくださった皆様、ありがとうございました。(ご清聴ありがとうございました)