【感想】Vivy prototype 2巻を読んだので感想を語る

どうもLibraです。

 今回は2021年夏アニメの覇権タイトルとして名を馳せた「Vivy -Fluorite Eye’s Song-」の原案小説である「Vivy prototype」の2巻を読んだので、それらの感想を語っていこうと思います。アニメ版と比較しつつ重要なネタバレはないようにまとめました。

 下に「Vivy -Fluorite Eye’s Song-」公式サイトのリンクを貼っておきます。

オリジナルテレビアニメ「Vivy -Fluorite Eye’s Song-」2021年4月放送決定!…

概要

著者長月達平・梅原英司
出版社MAG Garden
発売日2021年5月31日
ページ数336
ISBN978-4-8000-1083-4
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あらすじ

『Vivy -Fluorite Eye’s Song-』の全体あらすじ

 国内最大級のテーマパーク『ニーアランド』で稼働するヴィヴィは、歌姫としてだけでなく史上初の自律人型AIとして知られていた。ある日、未来から来たというAIのマツモトに100年後、人類はAIに滅ぼされることを知らされ、この未来を回避すべく、共に『シンギュラリティ計画』に協力してほしいと要請される。

 100年かけてヴィヴィとマツモトはAI史における歴史的転換点『シンギュラリティポイント』と呼ばれる時代で、未来の戦争を回避すべく歴史の修正を行っていく。

2巻あらすじ

 第三のシンギュラリティポイントで目覚めたヴィヴィはすぐに自身の躯体と周囲の技術レベルが大幅に進歩していることに気づく。原因は「メタルフロート」と呼ばれるAI関連の部品を製造している工場だった。メタルフロートを停止するため、ヴィヴィはメタルフロート立ち上げに関わったAI研究者「冴木タツヤ」の元を訪れる。

 メタルフロート事件から数十年後、ディーヴァは自身の意識野に空白が生じていることに気づく。「相川議員の暗殺未遂事件」「落陽事件」」「メタルフロート暴走事件」。AIに関する大きな事件が起きた際に意識が途切れているがこれは偶然だろうか…ヴィヴィがそう考えを巡らせていると、部屋に一人の少女が現れ…

 2巻前半はメタルフロート編、後半はメタルフロート編から数十年後の物語が描かれています。メタルフロート編はアニメ版とストーリー展開が大きく異なっており、登場人物の生い立ちもアニメ版と比べて詳細に書かれています。後半の物語では、ヴィヴィとディーヴァの関係性が変化するような事件が起こります。こちらの話はアニメ版では未放送の内容であり、小説版のみのストーリーとなっています。

2巻キャラクター

ディーヴァ/ヴィヴィ(CV:種﨑敦美)

 ニーアランドで稼働する史上初の自律人型AI。正式名称はディーヴァ。シンギュラリティ計画の活動時にはヴィヴィと名乗っている。ヴィヴィはメタルフロートで全壊してもおかしくないほどの大規模なバトルを展開したり、ディーヴァはディーヴァとして初めてニーアランドの外へ出るなど、2巻では何かと忙しい。

マツモト(CV:福山潤)

 100年後の正史から開発者の松本博士によって100年前の時代に転送されたAI。非常に饒舌で調子の良い丁寧口調が特徴。メタルフロートでは想定外の事態が多発しパニックに陥ったり、間違った演算結果を出力したりと珍しくポンコツシーンが多かった。ヴィヴィに喝(拳)を入れられ我に返る。

グレイス(CV:明坂聡美)

 シスターズと呼ばれるAIの一機であり、元々は看護AIだった。現在はメタルフロートの管理AIとして稼働している。過去、少年時代の冴木タツヤの看護を担当していた。その後、同病院の医療AI研究所に赴任してきたタツヤと職場結婚したが、メタルフロートの管理AIとして稼働することとなったために、離れ離れになってしまった。メタルフロートで稼働する全てのAIをコントロールすることができ、戦闘力はシスターズの中でもトップクラスである。

冴木タツヤ(CV:小野賢章 / 田村睦心(少年時代))

 若くしてAI研究者として業界から注目されている秀才。幼少期に入院していた時期があり、そのときグレイスと知り合った。

柿谷ユウゴ(CV:新垣樽助)

 トァクのメンバーであり指導者。今回も当然のようにヴィヴィとフラグを立てる。

ミキ

 トァクのメンバー。柿谷たちと共にメタルフロートを襲撃する。

監督

 ニーアランドのステージ演出のチーフを務めている男性。ディーヴァとは20年来の付き合いがある。

ドクター

 ニーアランドのAIメンテナンスの統括を務めている女性。数式とAIの偏執狂で同性愛者であり、ことあるごとに女性型AIにアプローチしているという強キャラ。ちなみに、職場のAIであるナースのなっちゃんに8回プロポーズしており8回とも振られている。

戸倉ハル

 アイドルグループ「Season.5」のリーダーを務めている女子高生。「ハル」という芸名で活動しておりニーアランドのサブステージで歌っている。

アカリ

 突然ディーヴァの部屋に忍び込んできた少女。後半の物語はアカリが中心となってストーリーが展開されていく。

作中用語

メタルフロート

 沖合の小さな離島に存在するAIの部品や回路を休むことなく製造し続ける完全AI制御の無人プラント。

トァク

 反AI主義を掲げるテロリスト。今回はメタルフロートを襲撃しようと企んでいる。

アニメとの違い

各キャラが深掘りされている

 アニメでは簡潔にしか描かれていなかった冴木博士の幼少期や、入院した理由、グレイスとの馴れ初め、トァクの各メンバーについてなどが詳細に描かれています。アニメ未放送分の物語ともつながっており、2巻全体でメタルフロート編という構成になっているため、アニメ版と比較しても非常に綿密な世界観が作り込まれています。

メタルフロート事件の続きがある

 メタルフロート事件から数十年後の物語でディーヴァがメインの話です。小説版のヴィヴィとディーヴァは2重人格のような関係であり、ディーヴァはヴィヴィと同一の駆体をシェアしていながらもヴィヴィの存在を知りません。そんなディーヴァがある日、ふとしたきっかけからヴィヴィの存在を疑い始めたり、人気が徐々に落ちてきた現状を憂いたりするなど、人間のように悩んだり葛藤したりする様子が描かれています。

個人的な感想

 1巻とは違い、今回の物語からアニメ版と大きく内容が分岐していくので全体的に読み応えがあると思います。メタルフロート編はアニメ版と結末が違いますし、メタルフロート事件後の物語はアニメ未放送の内容なので、アニメ版との差分を探すというより、別の世界戦の物語として読むことになるでしょう。

 私がこの巻で特に気に入ったところが、幼少期の冴木博士とグレイスの物語です。アニメ版よりはるかに詳細に描かれているだけでなく、SF作品であることを忘れてしまうぐらいに人間的でエモーショナルな内容でした。SF作品でここまで繊細なドラマを描いている作品はそう多くないでしょう。

まとめ

 いかがでしたでしょうか。アニメ版もそうですがVivyという作品はジャンル的にはSFになるのですが、サイエンティフィックな内容よりも人間的なドラマ要素の方が強く、どうちらかといえば温かみを感じるストーリー展開が魅力的ですね(アニメ版のラストは…泣)。上で紹介した幼少期の冴木博士とグレイスの物語が私は特に好きでした。

 今回はここまでとなります。ここまで読んでくださった皆様、ありがとうございました。(ご清聴ありがとうございました)